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マンション管理組合の税務Q&A

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総論

Q 1
マンション管理組合でも税務申告が必要ですか。
マンション管理組合は、一般に営利事業を行っていませんので、税務申告をする必要はありませんが、税務上の収益事業に該当する行為を行っている場合には、その収益事業について、マンション管理組合として、税務申告をしなければなりません(管理組合法人も同様です)。
Q 2
どのような取引が収益事業に該当しますか。
以下の3点を満たす場合には収益事業に該当することになります。
① 販売業、製造業その他政令で定める事業(34事業)
② 継続して行われるもの
③ 事業場を設けて行われるもの
具体的には、マンション管理組合の場合、「携帯基地局アンテナの設置」による収入や「駐車場の外部貸し」による収入などが該当します。
Q 3
収益事業を行っていますが、これまで税務申告を行っていません。どうすれば良いでしょうか。
収益事業を行っている場合には税務申告が必要となります。
収益事業を開始したら税務署へ事業開始の届出を行い、決算期毎に税務申告書を提出する必要があります。
「税務申告をする必要があることを知らなかった」と主張しても認められません。租税債権の消滅時効は5年ですので、過去5年分について税務申告を行い、その後は毎期決算期終了の都度、申告を行うことになります。
Q 4
収益事業を行った場合には、どのような種類の税金が発生しますか。
収益事業を行った場合には、主に下記の種類の税金が課せられます。
法人税
地方法人税
道府県民税・市町村民税(都民税を含む)
事業税
特別法人事業税
Q 5
収益事業を行っていますが、必要経費としてどのようなものが認められますか。
収益事業に直接要した費用は必要経費として認められます。
例えば、機械式駐車場の収入がある場合には、機械式駐車場の保守料などは必要経費に該当します。また、税理士報酬なども必要経費として認められます。
収益事業とその他の事業とで共通で発生している費用については、「継続的に、資産の使用割合、資産の帳簿価額の比、収入金額の比、その他当該費用の性質に応ずる合理的な基準」により按分した場合には、必要経費として認められます。

各論

Q 6
マンション敷地内に時間貸しのコインパーキングを設置し、駐車場運営会社から賃貸収入を受領することになりました。当該賃貸収入は、収益事業に該当しますか。
駐車場運営会社から受領する賃貸収入は、収益事業に該当します。
マンション管理組合が不動産を外部者に貸付け、継続して対価を受領することになるため、不動産貸付業として収益事業に該当します。なお、当該コインパーキング自体は利用者が一時的に使用するものですが、これをもって継続性がないことにはなりません。
Q 7
マンション敷地内のスペースを利用して居住者限定のカーシェアリングを行うために、カーシェアリング事業会社から賃貸収入を受領することになりました。当該賃貸収入は収益事業に該当しますか。
カーシェアリング事業会社から受領する賃貸収入は、収益事業に該当します。
マンション管理組合が不動産を外部者に貸付け、継続して対価を受領することになるため、不動産貸付業として収益事業に該当します。このため利用者が居住者に限定されているか否かは、収益事業の判定には影響しません。
Q 8
駐車場会社にマンション敷地内の駐車場の一部をサブリースする契約を締結しました。当該契約にはフリーレント期間が定められており、契約日から3ヶ月間は駐車場会社からの入金はありません フリーレント期間中に決算月が到来した場合、未入金でも申告が必要ですか。
フリーレント期間を含む契約開始日が収益事業開始日となるため、入金の有無に関わらず申告が必要となりますが、収益の計上のタイミングは契約内容に応じて異なります。
フリーレント期間が設定されているサブリース契約は、契約締結日が収益事業開始日となります。法人税法上,賃貸借契約による賃料収入の計上時期については「当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日の属する事業年度の益金の額に算入する」 とされているため(法基通2-1-29),フリーレント期間について収益を認識せず、実際に支払いを受けた日に収益を認識することなります。一方、中途解約不能な契約については,契約締結時点において,賃貸借期間にわたる賃料総額について支払いを受けるべき権利が確定しているため、入金時期にかかわらず、フリーレント期間を含む契約期間における賃料総額を契約期間で按分する必要があります。実務上は、フリーレントは賃料の免除とし中途解約時に一定金額を違約金として支払うこととする契約が多く、このような契約の場合には、入金時より収益計上すれば良いと思料されます。
Q 9
外部者が支払う来客用駐車場の利用料は、収益事業に該当しますか。
来客用駐車場の利用者を区分所有者(及びその来客)に限定している場合には収益事業に該当しませんが、来客以外の外部者も利用できるように継続的に運営されている場合には収益事業に該当します。
来客用駐車場の利用料は、来客者が負担するケースが多いと思われますが、区分所有者の来客者である限り、実質的には当該来客用駐車場の利用者は区分所有者であると考えられるため、区分所有者による共用部の割増利用となり、収益事業には該当しないと思料されます。
ただし、来客用駐車場利用料の徴収は原則として34事業の駐車場業に該当するため、来客以外の外部者が利用できるように継続的に運営されている場合には収益事業に該当します。
なお、この場合、区分所有者(及びその来客)の優先的な利用条件がない場合には、区分所有者(及びその来客)利用分も含めてすべて収益事業に該当することになります。
Q10
外部者が支払うゲストルーム利用料は、収益事業に該当しますか。
ゲストルームの利用者を区分所有者(及びその来客)に限定している場合には収益事業に該当しませんが、来客以外の外部者が利用できるように継続的に運営されている場合には収益事業に該当します。
ゲストルームの利用者が区分所有者の来客である限り、実質的には当該ゲストルームの利用者は区分所有者であることから、区分所有者による共用部の割増利用となり、収益事業には該当しないと思料されます。
ただし、ゲストルーム利用料の徴収は原則として34事業の旅館業に該当するため、来客以外の外部者が利用できるように継続的に運営されている場合には収益事業に該当します。
なお、この場合、区分所有者(及びその来客)の優先的な利用条件がない場合には、区分所有者(及びその来客)の利用分も含めてすべて収益事業に該当することになります。
Q11
外部者が支払う集会室・会議室の利用料は、収益事業に該当しますか。
外部者が利用できるように継続的に運営されている場合には収益事業に該当しますが、集会室・会議室の利用者を区分所有者に限定している場合で、外部者からの申し出により、区分所有者の妨げにならない範囲内で、ごく短期間の利用である場合には収益事業に該当しません。
集会室・会議室の利用者を区分所有者に限定している場合で、外部者からの申し出により、区分所有者の妨げにならない範囲内で、ごく短期間の利用である場合には、外部使用を独立した事業とすべき事情があるとは言えず、共済的事業の付随事業となり、収益事業には該当しません。
ただし、集会室・会議室の利用料の徴収は原則として34事業の席貸業に該当するため、外部者が利用できるように継続的に運営されている場合には収益事業に該当します。なお、この場合、区分所有者の優先的な利用条件を設定できない場合には、区分所有者の利用分も含めてすべて収益事業に該当することになります。
Q12
マンション施設内に自動販売機を設置し、設置収入を自動販売機設置業者から受領することになりました。自動販売機は居住者しか利用できませんが、当該設置収入は収益事業に該当しますか。
自動販売機設置業者から受領する設置収入は収益事業に該当します。
マンション管理組合が不動産を外部者に貸付け、継続して対価を受領することになるため、不動産貸付業として収益事業に該当します。
なお、自動販売機設置収入は、外部業者が自動販売機の設置対価として支払うものであり、居住者が支払う飲料購入代金とは異なります。
したがって、自動販売機の設置場所、購入者は収益事業の判定には影響しません。
Q13
インターネット設備の設置に伴い、当該設備が使用する電気代相当額を受領することとなりました。当該電気代相当額は、収益事業に該当しますか。
受領する電気代相当額が、実費相当額であることが合理的に判別できる限り収益事業には該当しません。
電気代の実費であれば立替金であるため、収益事業とはなりません。
なお、インターネット設備が使用する電気代を直接測定できない場合には概算額で精算されることがあるが、概算額であったとしても、金額が合理的に算定されている場合には、電気代の概算額であっても実費の受領と同様に取り扱うことができると思料されます。
ただし、明らかに実費を上回るような場合には、超過分は実質的には不動産貸付の対価として課税される可能性があります。
Q14
自治体から受領する資源回収奨励金は、収益事業に該当しますか。
自治体から受領する資源回収奨励金は、収益事業に該当しません。
資源回収奨励金は資源ごみの売却対価ではなく、資源ごみの処分に対する助成金としての性質を有するものであり、34事業のいずれにも該当しません。
Q15
マンション管理組合の公式ホームページに掲載しているバナー広告の広告収入は収益事業に該当しますか。
バナー広告収入は、収益事業に該当しません。バナー広告収入は34事業のいずれにも該当しません。
Q16
施工会社の施工ミスによる補償金収入は、収益事業に該当しますか
施工会社の施工ミスによる補償金収入は、収益事業に該当しません。
補償金収入は34事業のいずれにも該当しません。
Q17
マンション分譲時から存在する機械式駐車場を一部外部貸しする場合、当該機械式駐車場の減価償却費を必要経費とすることはできますか。
マンション分譲時から存在する機械式駐車場の減価償却費を必要経費とすることはできません。
管理組合成立後に、管理組合が機械式駐車場を取得し、それを外部貸しする場合は、当該減価償却費を必要経費とすることができるが、分譲時から存在する機械式駐車場は区分所有者が所有する建物の一部であるため当該減価償却費を収益事業の必要経費にすることはできません。
Q18
機械式駐車場の一部外部貸しを行っている場合、区分所有者使用分と共通的に発生するメンテナンス費用(保守点検費、清掃費)を必要経費とするにはどのように按分すればいいですか。
使用台数又は使用面積等の合理的な基準で継続的に按分計算することになります。
収益事業と収益事業以外の事業とに共通する費用又は損失の額は、継続的に、資産の使用割合、従業員の従事割合、資産の帳簿価額の比、収入金額の比その他当該費用又は損失の性質に応ずる合理的な基準により収益事業と収益事業以外の事業とに配賦し、これに基づいて経理することとされています。
機械式駐車場の維持メンテナンス費用の場合の「合理的な基準」は、使用台数や使用面積であると思料されます。
Q19
管理会社に管理組合の税務申告書の作成を依頼することはできますか。
管理会社に管理組合の税務申告書の作成を依頼することはできません。
税理士又は税理士法人でないものは、税務代理、税務書類の作成、税務相談の税理士業務を行ってはならないため(税理士法2条、52条)、管理会社に税務申告書類の作成を依頼することはできません。
なお、外部管理者方式で、管理会社が管理者である場合には、自ら税務申告書を作成することは問題ありません。
Q20
管理費・修繕積立金の督促を弁護士(個人事務所)に依頼し、請求額どおりの支払いを行ったが源泉税はどうすればいいですか。
請求額どおりに支払いを行った上で、原則として翌月10日までに源泉所得税を納付する必要があります。個人事務所の弁護士、司法書士、税理士等の請求書の請求額は、通常、源泉所得税控除後の金額となっています。
請求額どおりに支払い、支払額をそのまま支出とする会計処理のみを行った場合、源泉所得税は管理組合が徴収して預かっていることになるため、翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。
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